
中長期資産形成におすすめの融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)のひとつに、今年3月「ネクストシフトファンド」が加わりました。
運用中の2件はいずれも平均利回り5~6%と低めですが、同ジャンルの大手ソーシャルレンディング事業者とは一線を画す特徴があります。
- ネクストシフトファンドの特徴・手数料
- 同ジャンルの「クラウドクレジット」と比較したときのメリット
- 評判・口コミ
これらを徹底解説します。
今後は新規顧客獲得を目指し、優良案件の募集が始まると予測されます。気になった人は、最新の動向をチェックするために口座開設しておきましょう。
Contents
ネクストシフトファンドの基本的な特徴
ネクストシフトファンドでは、新興国(東南アジア・東欧)の事業者がファンド募集しています。
- マイクロファイナンス(消費者金融・小口の事業融資)
- 再生可能エネルギー事業(太陽光発電など)
- 地方創生
投資先となる国は、いずれも貧困を克服するためビジネスに真剣に取り組んでいます。資金援助することで大きく成長する可能性があります。
このような新興国支援は、以前は「寄付」という形で行われていました。コンビニの寄付BOXや、最近だとWeb広告からでも寄付することができます。
こうした形で社会貢献に取り組むことのデメリットは、投資家に一切見返りがないことでした。
しかしネクストシフトファンドでは「投資家から調達した資金を、事業者に融資する」ソーシャルレンディングという形式をとり、出資額(元本)+利息収入を分配金として受け取ることで、寄付しながら資産運用することが出来るようになっています。
【ネクストシフトさんより】
— Ko Honam(髙虎男) @カンボジア農業最前線 (@Ko_Honam) March 26, 2018
2万円から社会的インパクト投資「ネクストシフトファンド」ついに始まりました!!第1号案件はカンボジアマイクロファイナンスファンドです。(運用期間1年間、目標利回り円建て5.0%)https://t.co/A5fTt67F7O
新興国を支援する形で投資するスタイルを「社会インパクト投資」と呼び、欧米諸国ではメジャーな資産運用方法です。日本でも、他には「クラウドクレジット」があります。
国連の「責任投資原則」に署名済み
ネクストシフトファンドの最大の特徴は、日本国内のクラウドファンディング事業者として初めて「PRI(責任投資原則)」に署名していることです。
国内では他にも三菱UFJ信託銀行・大和証券を含む62社(2018年6月時点)が署名していますが、クラウドファンディング事業者はネクストシフトファンドのみです。
PRIは、機関投資家(個人投資家から集めた資金を運用する企業・団体)の責任意識を高めるための6つの原則で構成されています。
現在は国連のサポートを得た機関で運営・管理されており、責任投資のグローバル会議を開いている唯一の機関でもあります。
他にもあるクラウドファンディングの類型
ネクストシフトファンドの投資モデルである「ソーシャルレンディング」以外にも、クラウドファンディングには様々な類型があります。
クラウドファンディングの4タイプ | |
「寄付型」 | 募金ページから現金やポイントを送る
(金銭的見返りはなし) |
「購入型」 | 商品やサービスを事前購入または予約する
(同上) |
「融資型」
(ソーシャルレンディング) |
事業者にお金を貸し付けて、利息収入を得る |
「株式投資型」 | 少額で非上場株を買う |
表の中でも
- 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
- 株式投資型クラウドファンディング
この2つは資産運用方法として人気があり、日本国内に20社以上の事業者があります。
>>クラウドファンディングを比較!おすすめサービス17社をまとめてご紹介
ネクストシフトファンドを他社と比較(手数料・運営会社情報もあり)
ネクストシフトファンドはサービス開始から7か月しか経過しておらず、実績はほとんどありません。
同じく社会インパクト投資ができる最大手サービス「クラウドクレジット」と比較すると、平均利回りも含めてやや見劣りすることは否めません。
ネクストシフトファンド | クラウドクレジット | |
期待利回り | 4.5~7.2% | 2.5~13.0% |
直近1年の平均利回り | 約5.6% | 約9.0% |
平均運用期間 | 12か月 | 18~19か月 |
最低投資額 | 2万円 | 1万円 |
保証・担保 | なし(担保付は0件)
※国内クラウドファンディング事業者として初めて国連のPRI(責任投資原則)に署名済み |
なし(担保付は0件) |
サービス開始日 | 2018年3月 | 2014年6月 |
累計出資金額 | 約1,300万円(成立案件数2件) | 約140億円(成立案件数582件) |
海外ジャンルのソーシャルレンディングは、高利回りに魅力がある一方で「貸し倒れ・元本割れ覚悟」というのが投資家の間の常識です。
これに対し、ネクストシフトファンドにはクラウドクレジットを上回る3つの特徴・メリットがあります。
- リスク重視の運用が出来る
- 払戻手数料(出金手数料)がいつでも無料
- 短めの運用期間(平均1年程度)
これらの理由から、ソーシャルレンディングに対する不安・抵抗感が拭えない人や、短期投資で高利回りを得たい人の入門編としておすすめできます。
「よりリスクの低い新興国投資」が出来る理由
外貨で投資を始める際、大きく円高に動いたときに元本割れしてしまうリスクがあります。
信用が低く値幅の大きい外貨ほど、リスクが大きくなる傾向にことにも注意が必要です。
そこで、2社の案件を確認してみましょう。
クラウドクレジットは4通貨(円/米ドル/ユーロ/露ルーブル)で投資できますが、一方のネクストシフトファンドは米ドル建て案件のみとなっています。
…ジョージア×カンボジア マイクロファイナンスファンド3号のスキーム
一見デメリットに感じられますが、実はこれがリスク低減に繋がっています。
言わずと知れた「安全資産」という評価の米ドルで融資・返済を受けることで、ネクストシフトファンドではカントリーリスク(国際情勢によるリスク)の影響を極小に抑えられます。
さらに、各案件のファンド事業者にも特徴があります。
各案件の案件事業者は、すべてマイクロファンド(消費者・中小起業家向け貸金業者)です。
ここで気になるのが「事業者が貸し倒れて経営所帯が悪化すると、連鎖的に日本の投資家も回収できなくなるのでは?」という問題です。
ネクストシフトファンドでは、現在まで「回収率100%の事業者」または「業界の不良債権率1%未満の地域」を厳選して、案件を募集しています。
ファンド設立の際の審査が厳正なのは、現地の事情に自信のない日本の投資家が安心できる要素です。
手数料・営業者報酬
手数料でクラウドクレジットと比較すると、営業者報酬の安さでネクストシフトファンドに軍配が上がります。
ネクストシフトファンド | クラウドクレジット | |
口座開設・口座管理手数料 | 無料 | 無料 |
入金手数料 | 有料(各金融機関からの振込手数料) | 有料(各金融機関からの振込手数料) |
出金手数料 | 無料 | 月1回無料(2回目以降は756円/回) |
営業者報酬(運用手数料)※ | 年2.0% | 年0~4%(運用開始時に負担) |
契約解除手数料 | 途中解約不可 | 5.40% |
途中解約不可という点に不安を感じがちですが、1年程度と運用期間が短く・資金の流動性をしっかり確保できるメリットがあります。
運営会社
運営元のネクストシフト株式会社は2016年に創業し、地元の鳥取銀行・株式会社山陰放送が主要株主です。
代表取締役の伊藤慎佐仁氏は旧三菱銀行(現三菱UFJ銀行)出身者で、2006年から5年間SBIホールディングスで執行役員を務めています。
引用:ネクストシフト公式サイト相澤英之氏(元衆議院議員・大蔵事務次官)が取締役を務めており、元政府高官が経営陣にいる唯一のクラウドファンディング事業者でもあります。
ネクストシフトファンドの評判・口コミ
累計運用件数が2件しかなく、期待と不安のまじった意見が寄せられています。
ネクストシフトファンド600万近集めたのね
— エスト (@adoniseas) April 21, 2018
コンセプトは面白いけど、利回り高くないし、為替ヘッジも見た感じなさそうなのはきついなーhttps://t.co/Aef1Id28DA
ネクストシフトファンド、全然集まらなかったんだなぁ。かくいう私も参加しなかった。マイクロファイナンスならクラウドクレジット、エネルギー系ならグリーンインフラと分散していくと、ネクストシフトファンドにわざわざ新たに口座開設する理由が無くなってしまったんだよ
— まいりる ぽに (@maililu_poni) May 23, 2018
そういえば自分が投資したネクストシフトファンドって全然資金があつまらなかったんだ。。
— メカ@株式型クラファン専門家 (@ipomechanic) April 21, 2018
これ2号案件とか相当厳しくなりそう。 pic.twitter.com/QV9YXDDoR9
海外ジャンルのソーシャルレンディングには高利回りを期待する人が多く、その影響か
- なかなか成立しない
- 魅力的な案件がない
と評価されています。
今後はマイクロファイナンス事業者の案件以外に、再生可能エネルギー・地域創生事業者の募集開始も行われる予定です。利回り・案件詳細に選択幅が広がれば、投資先として有力な候補に入ると考えられます。
まとめ
ネクストシフトファンドは海外系ジャンルのソーシャルレンディングとしては珍しく、リスク重視・短期運用の募集案件を厳選しています。銀行出資や元政府高官の存在もあり、透明性の高い運営体制にも期待できます。
評判や口コミを見る限り「ひとまず口座開設をして優良案件が出れば一番のりで応募しよう」と考えている投資家が多いようです。
随時動向をチェックして先行者利益を逃さないように、早めに登録しておくことをおすすめします。
たしかに新しく口座開設をする理由が見当たらない。ソシャレン業界自体怪しいのに。。。
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