
「アビトラ」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。
正式名称はアービトラージ(裁定取引)と呼ばれ、四則計算が出来れば今日から始められる投資手法です。
- トレンド分析が苦手
- 暗号資産(仮想通貨)を購入してみたけど、投資手法が分からない
こんな人は、この記事で暗号資産(仮想通貨)(ビットコイン)アービトラージの基本~実践例までマスターしましょう。
金融商品に触れたことがない・暗号資産(仮想通貨)を始めて間もない人にも分かるよう、解説します。
Contents
アービトラージとは暗号資産(仮想通貨)(ビットコイン)裁定取引の仕組みを解説
投資手法の一種である「アービトラージ(=裁定取引・サヤ取り)」の基本的な考え方は、次の通りです。
- 地域や取引所間のわずかな価格差
これを利用することで、小さな利益を数分~数時間単位で積み上げていきます。
アービトラージのメリット
アービトラージのメリットは4つあります。
- 暗号資産(仮想通貨)の値動きに左右されない
- ミスやトラブルがない限り、確実に収益がプラスになる
- 面倒なトレンド分析は不要
- 数秒~数時間単位で利益が出る
アービトラージはその性質上、チャートの動きの影響を受けません。最初に述べた基本的な考えを押さえれば、事前勉強なしの投資初心者でも実践できます。
同時刻・同日中に一連の取引結果が分かるので、手ごたえを感じながら楽しく投資できます。
アービトラージのデメリット
アービトラージで利用する価格差は、ほとんどが1%未満のわずかなものです。これによるデメリットがいくつかあります。
- 大きく利益を狙うことは出来ない
- 時間や手間がかかる
- 手数料や送金遅延によるリスク
利益を出すには、価格差情報の収集をコツコツと続けること・売買取引の継続が大前提です。これらは自動プログラム(bot)に任せるという手もあります。
問題は「各種手数料や送金時間」です。
1回あたりの利益が小さいため、取引や入出金にかかる手数料でマイナスになることがあります。
また、アービトラージ中に暗号資産(仮想通貨)の入出金をする場合、狙った時間に送金完了せず損失が出る場合もあります。
詳細を解説すると、
裁定取引(アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。機関投資家などが、リスクを低くしながら利ざやを稼ぐ際に利用する手法です。株価指数等の現物価格と先物価格を利用した取引などが代表的です。理論価格よりも高くなっている割高な先物を売却するのと同時に現物を購入することを「裁定買い」といい、理論価格よりも低くなっている割安な先物を購入するのと同時に現物を売却することを「裁定売り」といいます。また、例えば、先物を売って現物を買うという裁定取引のポジションを組み、その後、利益を確定するために先物を買い戻して現物を売るといった反対売買を行うことを「裁定解消」と呼び、その際に行われる現物の売りのことを「裁定解消売り」ともいいます。なお、裁定取引は、株式市場の現物と先物だけでなく、為替、金利、商品(コモディティ)など、さまざまな市場で行われています。
・ワンポイント!
裁定取引は、機関投資家などが大きな資金でサヤ抜きを狙う手法として使われるのが一般的なので、その取引が市場全体に与える影響も比較的大きく、マーケットを見るうえでは、その動向もチェックしたいところです。日本経済新聞のマーケット総合面では、株式市場の裁定取引の残高などが記載されています。なお、裁定取引は、その取引を積極的に行う市場参加者が増えるほど、市場の歪みが短時間で解消される方向にはたらくため、適正な価格形成に役立っているともいわれます。
アービトラージで実際に行われている手法
この項を読むと、すぐに暗号資産(仮想通貨)(ビットコイン)アービトラージを始めることができます。トレーダーに人気の3つの手法を紹介します。
※リスクが伴うので、この後紹介するスマホアプリ・取引所を活用することをおすすめします。
①現物売買で利益を出す
レバレッジをかけないため比較的リスクが低く、暗号資産(仮想通貨)(ビットコイン)アービトラージの基本をおさえられる方法です。
ここで利用する価格差の例として、7/18の同時刻にビットフライヤー・ビットバンクのBTC/JPY取引画面を見てみましょう。
ビットフライヤー:1BTC=839,450円
ビットバンク:1BTC=840,834円
同時刻にも関わらず、1,384円の差があります。これがアービトラージに利用する価格差です。
架空のA取引所・B取引所の間で、両方の取引所に口座をもつ投資家の例を挙げます。
A取引所 | B取引所 | |
ビットコインの価格 | 1BTC=100万円 | 1BTC=102万円 |
投資家の行動 | ①A取引所でBTCを1枚購入
②購入したBTCをB取引所に送金 ③B取引所でBTCを売る |
|
利益 | 102 – 100 = 2万円 |
同じ暗号資産(仮想通貨)銘柄でも、取引所が違えばわずかに価格が異なります。この性質をおさえた、アービトラージの最も典型的なパターンです。
メリット「初心者でも理解しやすい」
何より、仕組みが分かりやすいのがメリットです。
複数の暗号資産(仮想通貨)取引所に口座開設している・それぞれの取引所の手数料を把握するという、事前準備の動きを学べます。
デメリット「アビトラ特有のリスク大」
表の通り、同時刻に売買を行うわけではありません。この手法は、暗号資産(仮想通貨)の入出金を伴います。
すでにアービトラージのデメリットとして述べた「手数料・送金時間に伴うリスク」が、他2種類の手法に比べて大きくなります。
②FXで利益を出す
現物取引ではなく、A・B両取引所でレバレッジをかけて取引する手法です。アルトコインFXに対応している取引所は限られているため、現時点ではビットコインが向いています。
- ポジションを持つとき
- ポジションを決済するとき(各取引所での収益が分かる時)
この2つについて、時系列に沿って表にします。
日付 | 2018年7月1日 | ||
取引所 | A取引所 | B取引所 | |
ビットコイン価格 | 1BTC=100万円 | 1BTC=102万円 | |
投資家の行動 | ロング(買い)ポジションを保有 | ショート(売り)ポジションを保有 | |
↓ | |||
日付 | 2018年7月10日 | ||
取引所 | A取引所 | B取引所 | |
ビットコイン価格 | 1BTC=110万円 | 1BTC=108万円 | |
投資家の行動 | ポジションを決済 | ポジションを決済 | |
各取引所の収益 | 110 – 100 = 10万円の黒字 | 108 -102 =6万円の赤字 |
最後に、A・B両方の収益を集計します。
10 – 6 = 4万円の黒字となり、利益が出ていると分かります。投資家の行動に着目すると、ビットコインの入出金をしていません。ポジション決済(利益確定)も同時であることが分かります。
メリット「アクシデントに左右されにくい」
すでに紹介した通り、この方法は「同時決済」が特徴です。暗号資産(仮想通貨)の入出金も伴いません。
依然として取引手数料でマイナスになるリスクは存在するものの、送金時間・その遅れによる機会損失の可能性は低いと言えます。
3つのデメリット
FXの反対売買を利用するアービトラージには、3つのデメリットが伴います。
- 証拠金維持率を常に保つ必要がある
- 価格変動を待っている間、スワップ手数料がかかる
- 今後取引所に禁止される可能性がある
フィアット(法定通貨)FXでは禁止行為とされており、暗号資産(仮想通貨)でも今後同じ考え方が広まる可能性があります。
③同じ取引所で、複数銘柄に投資する
暗号資産(仮想通貨)の相場が安定した場合、ここで紹介した他の手法より有利となるものです。
ここでは、日本円・ビットコイン・リップル(Ripple/XRP)の3種類の通貨を例にします。
ある時点でのA取引所でのレート・投資家の行動 | |||
通貨ペア | BTC/JPY | XRP/JPY | XRP/BTC |
レート | 1BTC=100万円 | 1XRP=200円 | 1XRP=0.00004BTC |
投資家の行動 | ①20,000XRPを100万円で購入する
②XRPを1.2BTCで売却する ③BTCを120万円で売却する →20万円の黒字 |
ここまで紹介してきた投資手法とことなり、同一取引所内で売買しているのが分かります。
リップルのビットコイン建て・日本円建ての間に生まれるわずかな価格差を利用しています。
この手法には、一種類の通貨に対して複数のペアが用意されていることの多い「アルトコイン中心の取引所」が向いています。
メリット「取引に必要な情報を収集しやすい」
複数の取引所をまたがる他の投資手法と異なり、お気に入りの取引所1カ所の情報に絞って収集していれば成功します。
アプリやツールを多数導入するのが面倒というかたにおすすめできます。
デメリット「売買手数料に注意」
一連の取引には、売買が3回行われることに注意してください。売買手数料のかかる取引所だと、赤字になる可能性があります。
便利なスマホアプリの紹介
ビットコインアービトラージする場合、このようなツール・アプリがあると便利です。
- 各取引所の暗号資産(仮想通貨)チャートが一目でわかるもの
- 自分の資産額がリアルタイムで把握できるもの
なかでも人気なのは、次に紹介するアプリです。
イチ押しは「Cryptopippi(クリプトピッピ)」
ビットバンク・ザイフ・バイナンスを含む暗号資産(仮想通貨)取引所19カ所と、暗号資産(仮想通貨)40種類以上に対応しています。
機能
- 暗号資産(仮想通貨)の価格情報をリアルタイムで表示
…取引所間・取引所内両方での価格比較に対応)
- BTCアービトラージに使える専用メニュー
…対応している全取引所のBTC価格差を一覧表示
日本人プログラマーが制作しており、もちろん完全日本語対応です。インタフェースや配色もシンプルで、初心者でも抵抗なく使えます。
無料で全ての機能が使えるので、気軽にインストールしてみましょう。広告はアプリ内課金(540円)で消すことが出来ます。
他にも便利アプリあり
Cryptopippiは残念ながら資産管理には対応していません。アービトラージ専用メニューはないものの、価格比較・資産管理の両方に対応しているアプリは他にあります。
コイン相場
…ICOの日本語情報サイトで知られるCOIN NINJAが運営しています。暗号資産(仮想通貨)ニュースの閲覧・ウィジェット設定にも対応しています。
Cryptofolio(クリプトフォリオ)
…インタフェースの見やすさが特徴のアプリです。
国内7カ所・海外36カ所の取引所と、取引所トークンを含むアルトコイン100種類以上に対応しています。
マイナーなコインへの対応頻度が高く、バグ報告や対応要望へのレスポンスもよく、人気のアプリです。
アービトラージ向けの暗号資産(仮想通貨)取引所
アービトラージの際、取引所選びで重視したいのは
- 各種手数料の安さ
- 出来高(取引量)
の2点です。取引所内で裁定取引する場合は、アルトコインや通貨ペアの豊富さも重要なポイントです。
bitbank(ビットバンク)
リップル(Ripple/XRP)の取引高世界一の知る人ぞ知る取引所です。
初心者でも扱いやすいオーダーブックが・高機能なチャートが特徴の、投資家視点に立った取引所です。
アカウント登録・口座開設方法はこちら
bitFlyer(ビットフライヤー)
アプリ機能が充実しており、BTC/JPYの出来高世界一を誇る取引所です。
ビットコインは「販売所」「取引所」の両方で取り扱っており、両者の価格差を利用してアービトラージを行うことも出来ます。
アカウント登録・口座開設方法はこちら
※2018年7月16日現在、新規登録受付を停止しています。
Zaif(ザイフ)
全ペア取引手数料無料で、上場済みアルトコインについては全て日本円・BTC両方のペアを取り扱っています。
取引所内での3通貨間アービトラージにおすすめです。
アカウント登録・口座開設方法はこちら
ビットコインアービトラージまとめ
ビットコインアービトラージ(アビトラ・裁定取引)は、今日から暗号資産(仮想通貨)を始める人・FXを含め投資経験がゼロの人でも実践できます。
- 取引所間・通貨ペア間の小さな価格差を利用する
- 各種手数料や送金時間により、赤字になることもある
チャートや専門知識を学ぶ必要はありません。国内外の暗号資産(仮想通貨)取引所に登録・紹介したアプリの活用で、自分に合う暗号資産(仮想通貨)(ビットコイン)アービトラージ方法を見つけましょう。