
現在23歳のvitalik buterin(ヴィタリック・ヴィタリック)氏によって考案されたイーサリアム。
2015年7月から運用が始まり、時価総額がビットコインに次ぐ第2位の暗号資産(仮想通貨)にまで成長を遂げました。
【参照:coinmarketcap】
ヴィタリック氏は大学を中退し、数々のビットコインプロジェクトに参加しています。その中でビットコインの課題を目の当たりにし、課題を解決すべくイーサリアムが生まれています。
そのため、ビットコインとは一線をなす画期的な仕組みが搭載されています。
ここではそんなイーサリアムの特徴から将来性まで考察します。
Contents
イーサリアム(ETH)の特徴
イーサリアムとは何なのか?
イーサリアムについてヴィタリック氏自身が執筆した文書が、雑誌「BITCOIN MAGAGINE」に掲載されています。※現在も閲覧出来ます。
【参照:BITCOIN MAGAGINE】
記事のタイトルは「Ethereum: A Next-Generation Cryptocurrency and Decentralized Application Platform」日本語訳は「イーサリアム:次世代の暗号資産(仮想通貨)と分散アプリケーションプラットフォーム」になります。
タイトルにもある通りイーサリアムは、プラットフォームです。
イーサリアムとは正式には暗号資産(仮想通貨)を運用する土台(プラットフォーム)を指し、イーサリアムの開発企業が発行した暗号資産(仮想通貨)はETH(イーサー)と呼ばれます。ですが、昨今ではイーサリアムとイーサを混合して使用するケースが増えてきています。どちらの意味で使用されているかは、都度文書から判断する必要があります。
Smart Contract(スマートコントラクト)
イーサリアム最大の特徴です。
イーサリアムがこれだけの急成長を遂げたのは、スマートコントラクトの概念が多くの人を魅了したことが大きな要因です。
スマートコントラクトを日本語に略すと「賢い契約」になります。
イーサリアムは、ブロックチェーンに契約の機能を加えた仕組みになります。
では、契約とは一体何でしょうか?
契約とは、「ブロックチェーンにデータが書き込まれた際に、予め決められた処理を自動的に実行する」ことを意味します。
イーサリアムはオープンソースで、プログラムはEthereum公式サイトからダウンロード出来ます。用途によって自由に作り変えて運用することが出来ます。
【参照:Ethereum公式サイト】
契約内容は自由に組み替えられますので、プログラミングのスキルさえあれば、誰でもイーサリアム上のサービスを作ることが出来ます。この汎用性が、多くの団体・企業の参入を容易にし、競争を活発にしています。
マイニング方式
現在、ビットコイン、イーサリアムと共に、マイニングにProof of Work(Pow)を採用しています。Powの日本語訳は「仕事量による証明」です。
ブロックチェーン技術では、マイニングによりブロックチェーンを生成した際に報酬がもらえる仕組みになっていますが、多量の電力を消費することが問題となっています。イーサリアムはこの問題を解決する為に、「Proof of Shake(Pos)」方式への切り替えを検討しています。
Posの日本語訳は「資産による証明」です。イーサリアムを多数持っているユーザーがマイニングを優位に進められるという方式です。Powでは、多量の電力を消費できる強力なコンピュータを持っているか否かでマイニングの優劣が決まってしまいましたが、Posでは資産(暗号資産(仮想通貨))を持っているユーザーにインセンティブが働くようになります。
現在の進捗がイーサリアムの公式サイトに公開されています。2018年1月2日付の情報によると、既にPosのテスト版がリリースされ検証段階にあることが分かります。イーサリアム誕生からPosのテスト版リリースまで、実に3年以上もの歳月を要していますが、遂に現実に実装される日が近づいてきています。
【参照:Ethereum公式サイト】
Posはブロック生成時間が15秒程度と言われています。ビットコインは10分程度ですので、おおよそ40倍の高速処理が可能になる計算になります。ビットコインに比べ、送金にかかる時間がケタ違いに短くなることが期待されています。
THE DAO事件
順風満帆に見えるイーサリアム。
ですが、2016年6月17日、イーサリアムを利用したサービスを展開していた企業のダオがハッキングされ、総額3,600万ETHが失われる事件が起きました。
ICOにより150億円の資金調達に成功したダオでしたが、その半分の75億円をハッカーに奪われたのです。
ダオの事件は、ダオだけではなくイーサリアム本体にも欠陥があったのではないかとされ、有識者による検討の末、イーサリアムはハードフォークを実施します。
ハードフォークすることで、生まれ変わったイーサリアムは「ハッキングが無かったもの」として存在することになりました。
現在は、イーサリアム(ETH)とイーサリアムクラシック(ETC)の二つの通貨が存在しています。
イーサリアム(ETH)は様々な用途に使われていますが、イーサリアムクラシック(ETC)は現状では用途に乏しい面があります。
なお、イーサリアムクラシックの今後のビジョンについては、開発者のCharles Hoskinson(チャールズホスキンソン)氏が2017年12月に行われたインタビューで語っています。
イーサリアムクラシックの今後の動向はイーサリアムの動向にも影響を与えますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
※画面左がチャールズホスキンソン氏
【参照:youtube】
イーサリアム(ETH)の価格とチャート
イーサリアムは、誕生からわずか数年でここまで上り詰めた驚異の暗号資産(仮想通貨)です。イーサリアムは順調に社会に浸透し、価格も右肩上がりの推移を見せています。
2017年12月以降、イーサリアムの価格が急上昇しています。現在は1ETHあたり14万円前後で推移しています。
12月中は、わずか数日の間に30%以上も価格が上昇しました。
アメリカの情報機関CCNのレポートによれば、イーサリアム価格高騰の裏には韓国での取引量増加があるとされています。事実、12月に入り、韓国でのイーサリアム取引量は11%増加しています。これは、韓国政府がイーサリアムを軸にした企業のICOを容認する考えを示していることが要因と見られています。
イーサリアムの特徴として、ビットコインと同じく国や企業を動かす力があることです。
イーサリアムの需要は今後より高まることが見込まれ、イーサリアム(ETH)の価格も上昇することが期待されています。
イーサリアム(ETH)の買い方・購入方法
イーサリアムは、ほとんどの暗号資産(仮想通貨)取引所で購入することが出来ます。
代表的な国内の暗号資産(仮想通貨)取引所では全て取り扱われています。
すでに暗号資産(仮想通貨)の取引をされている方は、その取引所がビットコインキャッシュに対応しているか確認してみましょう。また、暗号資産(仮想通貨)への取引を検討されている方は、ぜひ一覧表を元に取引所をチェックしてみてください。
イーサリアム(ETH)の今後の将来性
2017年11月7日、イーサリアムの資金約200億円が取引できないニュースが流れました。
原因は、イーサリアムのウォレット(資金を溜めておく場所)にプログラムの脆弱性が発見された為、応急措置として資金を凍結させたことによるものです。
幸いハッカーによる盗難被害がなかったせいか、大きな値動きはありませんでした。投資家達はじっとイーサリアムの資産を確保し、市場の様子を見守っていたのです。
このことはイーサリアムの信頼性が高まっていることを表しています。
もはやイーサリアムは、多少の問題では資金の流出(価値の暴落)が起きづらい通貨となっています。
暴落の可能性は極めて低い
イーサリアムの最大の強みは、「プラットフォームである」ということです。
イーサリアムを採用する国や企業は、今後増えることが確実視されています。
プラットフォームであるイーサリアムが広まれば、イーサ(ETH)を使える機会も増えます。需要が増えれば、価値は上がります。
反対にイーサリアムの需要が減れば価格の急落が起きますが、今のところそのようなサインはありません。
ICOでもイーサリアムは重要なキーワード
暗号資産(仮想通貨)の人気の高まりから、暗号資産(仮想通貨)のサービスを開発しようとする企業や団体も増えてきています。
サービス開発においては、ICO(Initial Coin Offering)で開発資金を調達することが一般的です。ICOを行っている企業や団体は一覧形式で確認出来るサイトがありますが、そこでは「どのようなサービスを開発しようとしているのか」概略を知ることが出来ます。
各サービスを見てみるとイーサリアムをベースにしたサービス開発を行おうとする企業が多いことに気づきます。
「イーサリアムは新サービスの土台として将来性がある」と、多くのスタートアップ企業に認識されているのです。
ICOでトークンの購入を検討されている方は、ぜひ「イーサリアム」という単語にも注視してサービス内容を見てください。
イーサリアム企業連合(EEA)
2017年2月、イーサリアムの標準化を目的として、イーサリアム企業連合(Enterprise Ethereum Alliance、略してEEA)が設立されました。
現在、EEAには150社以上が加盟していて、Intel、Microsoft、KDDIなど有名企業も多数所属しています。
多くの有名企業が参画していることで、イーサリアムの将来性への期待値の高さが伺えます。
イーサリアムの標準化が進めば、イーサリアムをベースにしたサービスも次々と生まれてくることでしょう。
イーサリアムは国家レベルで採用される
2018年1月5日、アメリカのビジネスニュースサイト「クオーツ(QUARTZ)」が、「ブラジル政府が国民からの請願書の受付をイーサリアム上で行うことを検討している」と報じました。
【参照:QUARTZ】
ブラジル国会の立法顧問リカルド・フェルナンデス・パイソー氏とエヴァトン・フラガ教授が主導する試みで、不正がまん延するブラジルの立法制度をクリーンにする狙いがあるとされています。
計画によると、イーサリアムのスマートコントラクトを使用し、暗号化された請願書や票をイーサリアム上に恒久的に記録し、改変を防ぐとされています。
根本には、組織を通じて国民の意向を反映しようとすると、どうしても癒着などの不正が起きてしまうという考えがあります。
スマートコントラクトを利用すれば、データは改変出来ないことに加え、いつでも閲覧することが出来ます。また、「嘆願書の受付と同時に立法機関に送付する」のような契約内容を組み込んでおけば、滞りなく嘆願書を立法機関に送ることが出来るようになります。
このイーサリアムを基盤にした国民の意向を反映させる仕組みは、日本においても、将来「Web選挙」を検討する際のモデルケースになり得るかも知れません。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)への投資を検討される場合、イーサリアム(ETH)は堅実な投資先となり得えます。
今後、イーサリアムを軸にしたサービスが増えることが見込まれています。爆発的な値上がりは期待出来ないかも知れませんが、暴落の可能性は極めて低く、上昇も期待出来ます。
イーサリアムを基軸通貨として取り扱っている暗号資産(仮想通貨)取引所もありますので、保持しておいて損のない通貨です。
ですが、DAO事件のような根幹を揺るがすような事件が起きないとは言い切れません。
イーサリアムへの投資を検討される方は、公式Twitterなどで情報をチェックしつつ、投資に臨むようにしてください。